海外移住

海外移住と長期滞在の主な方法
○観光査証で入出国を繰り返す
国によって異なりますが観光査証の延長によって3ケ月から1年の滞在の後、一端出国し再入国を繰り返す方法。滞在手段や目的は人それぞれ、観光入国の身分ですので不都合もありますが、現実的には観光査証のままで住み着いたり個人事業をしている日本人も多くいます。
また最近よく耳にするロングステイは、言葉の解釈がバラバラですが、基本的には観光査証による滞在型の旅行のことをいいます。

○国際結婚する
最も簡単な移住方法。投資の必要も無く、原則的には無条件で相手国の居住査証が発給されます。

○現地企業に就職する
現地で働くには就労査証や労働許可証が必要です。国によって手続き方法は違いますが、多くの場合、雇用主が関連機関に書類を提出し取得します。また日本人を雇用するには相当の理由と条件が必要になり、現実的には現地資本100%の企業よりも日系企業に就職する方が早道となります。

○駐在員として現地赴任する
海外進出している日本の企業に就職し、駐在員として現地に赴任します。

○起業する、会社を設立する
会社を現地に設立することで滞在許可と就労許可を取得します。多くの国では起業などの投資を歓迎していますが、外国人の投資認可基準は国ごとに異なり、会社を作らなくても投資・起業許可が得られる国もあります。投資や起業というとおおげさなイメージがありますが、実際は趣味の分野などの個人ビジネスから本格ビジネスまで、その形態はいろいろ。就職などの雇用契約の代わりに、特定企業と業務請負契約を交わして就労するスタイルも考えられます。
また外国人名義での土地購入ができない国でも、会社名義での購入登記は多くの場合可能です。

○中高年向けの特別優遇制度を活用する
年金受給や貯蓄を条件に居住査証や永住権が発給される制度(通称リタイアメント査証)があります。現在22ケ国で実施されていますが、条件や内容は国によって異なり、年令制限の無い国もあります。

○公募永住権制度に応募する
居住経験を経ないで、初めから永住権が取得できる「公募永住権システム」を6カ国が実施しています。抽選制度とポイント制度などがあり、ポイントシステムは職務経歴や英語力などによって選考されます。永住権は永続して住める権利のことで、市民権は国籍を意味します。また、海外の市民権(国籍)を取得した場合は、二重国籍を認めていない日本の法律によって、日本国籍を放棄します。

○ワーキングホリデー査証を取得して移住のステップにする
日本と全7ケ国間で相互協定を締結。査証取得すると1年間の就労と自由な滞在が認められます。

○海外ボランティアや留学に参加して移住のステップにする
生活滞在の経験を積んだり、現地人脈などを作ったりすることができます。


海外移住、世代別動向
サイト運営を通じての世代別状況などを紹介しています。

それぞれの国・街選び
 
 ○街で変わる異なる印象
海外移住は<査証>という国境や様々な居住環境に左右される場合もありますが、過去の旅行経験から「住むならこの国」と決めている人がいる一方で、どの国がいいのか決められない人が多いのも現実。「それぞれにとって一番良い国とは?」を考えてみると、観光旅行ではなく「生活」するのですから、好きな国や街にとことんこだわったり、抽象的ですが、一日がいつのまにか終わってしまうような「最も風や空気が馴染む場所」が一番の適地といえるでしょう。
また、日本でも沖縄と北海道では随分と違います。とくに海外では住んでいる民族も違ったり、物価や生活環境も異なります。街によっては別の国に来たような印象になることも珍しくありません。このため、ある街に馴染めなくても、「別の街があるさ」というふうに考えることが重要ですし、入り口は国であっても、移住地は街で判断することが必要になります。

○考えすぎは禁物
現地の事情を調べて詳しくなることは必要ですが、考えすぎる弊害もあります。とくに海外経験が乏しい人の場合はガイドブックなどの情報などによってイメージが固まり、訪れたときに現実とのギャップを生じる人もいます。更には、考えすぎることで頭の中がいっぱいとなって、実際の行動に至らない人もいます。知識はトラブルを事前に回避するうえでとても重要ですが、知識はあくまで知識としてとどめ、「現地のことは現地に行ってから」といった楽天さも必要です。思いたった時が旅ごろかもしれません。

○判断は1ケ月ほど滞在してみてから
まずは気楽に滞在してみるのが自然な形。1ケ月ほど滞在してみると、はじめの印象とは随分と異なり、嫌な街が好きな街に変わってしまうこともあります。生活者の視点からいろいろ現地の事情にも明るくなり、旅行者の視点では見えなかったこともいろいろと分かってきますので、1ケ月ほど滞在してみてから判断するのが最良。もちろん、「覚悟の移住」もいいですが、肩を張りすぎると追い詰められる感じになりますし、「いい移住候補地が見つかってから考える」「嫌になったら日本に帰る」というふうに逃げ道を作っておいたほうがプレッシャーはありません。世界には5万円もあれば1ケ月生活できる国もあるので、お金をかけずに長期滞在してみることだってできるのです。また、どこの国でも日本人旅行客は大歓迎。チヤホヤしてくれるのもお金を落としてくれる一時的なお客さんだからです。周囲から旅行者として見られなくなった時、それが現地に馴染んだ証拠となります。
日本脱出.バックパッカー滞在のススメ


悪質な海外生活サポート業者には要注意
○サポート業者の氾濫
日本にはワーキングホリデーの生活サポート、インターンシップや日本語教師研修、オペアやボランティア、留学・ホームステイ、永住権や査証取得を扱う多くの会社がありますが、不透明で高額な料金設定の業者も多く、トラブルもいっぱい。インターネットで現地情報を得る環境があるのですから、不要なお金を安易に払う姿勢には反対です。ちなみにインターネット上は業者の宣伝サイトだらけ。業者増加の背景には、「高いほど安心」「お金で済むなら」といった誤った見識を持つ人が多いことなどがあります。
留学・研修・サポート商品の裏側

○問われる自立意識
人に頼りすぎないことも海外生活には必要です。海外では分からないことばかり。 お金持ち日本人を狙って、日本語を操る怪しい現地人ばかりか、不良日本人も近寄ってきます。誰かを頼っているうちに、自分で判断することを忘れ、思わぬトラブルや依存生活に陥ったりすることもあるでしょう。こうした危険を招かないためには、依存せずに、自立心をもつことが最も大切。とくに海外では行動力が全てに勝ります。何事もすぐに信用せずに、「自分の目と耳と足」で確認することが必要です。もちろん、理不尽なこと、おかしいと思うことには、はっきり「NO」といえる姿勢が問われることはいうまでもありません。


海外移住の本質、ファクターなど
○海外移住は”生き方”の問題
海外移住は100人いれば100通りの考えやスタイルがあります。海外に住むという事は<生き方>の問題であり、個々の人生の在り方を反映するものでもあるからです。したがって基本的に日本と現地との物価の違いや損得だけで判断するのはナンセンス。日本では困難なことを実現したり、または日本では味わえない・・・例えば生きているという実感や幸せ感といった精神的充足感などを充たすことが大切。海外に移住するということは、ある意味、個々の生き方を実証することかもしれません。

○優先順位をつければ、自然と答えが・・・
海外移住について、いろいろ迷ったり、また悩んだりもするでしょう。
一番の解決策は、”自分にとって一番重要なものは何か”、”自分にとって一番の幸せとは何か”といった優先順位を考えることでしょう。その一番大切なもの、幸せだと思うものを手にいれるために、海外移住が適していれば脱出すべきですし、日本の方が適していれば日本で生活すべきかと。そういった優先順位を考える事で、必然的に答えがでるのでは・・・。

○海外移住熱の背景にある「日本の歪みとリセット願望」
海外移住の第一次ブームは1990年頃のバブル期。日本円の強さと好景気を背景に「海外で豪華な生活を」というもので、オーストラリアのゴールドコーストやスペインのコスタデルソルなどが注目されました。そして2001年ごろから始まった第二次ブーム。ここには不景気に伴う社会環境・社会構造の変化、矛盾や問題の露呈などによる「社会不信、自己防衛・生活防衛」といったものが大きく関わり、「物価の安い国で等身大の生活を」といったものに変貌しています。いずれの場合も、現象の違いはあっても、「日本の歪み」が日本脱出の動機や要因になっていることに変わりはありません。思えば、いつの時代も国民不在といわれてきた日本社会の実像。21世紀を迎えても、「いったいこの国は誰のための国家」と言わざるを得ない場面がますます増加。もはや治療不能の末期症状といった感すらします。心から誇れる日本であれば、海外移住熱がブームになることもないのです。
一方で、日本社会の不景気感や閉塞環境、不信や疑問といった時勢なども契機となって、いったん立ち止まって人生を見つめ直す機会や真剣に向き合う人が増えた結果、海外が選択肢の一つとして入ってくるようになりました。従来の「よらば大樹のかげ」「長いものに巻かれろ」といった”よりかかり主義”が無意味になり、個人の幸せとは・・・といった”個人主義”に変ってきたともいえるでしょう。
その結果、個々の生活を一度リセットし、異なる土俵で、白紙からトライしたいと思う人が急増。もちろん、海外渡航が国内旅行のように身近になったことも影響しています。

○海外へは少しでも若いうちに・・・
若くなるほど感性が豊富で海外生活をより楽しめるのでは・・・と考えることがよくあります。海外に行っても若い時に旅した時の感じ方と今とは随分違っています。年金利用のリタイアメント制度もありますが、少しでも若いうちに海外生活することに意味や価値があるような・・・そんな気がしてなりません。

○プロセスの意義
海外移住するかどうかは結果的な問題で、大切なのは、むしろそのプロセス。未知の領域に一歩踏み込んだり、新たな価値観を求めたり・・・。移住実行の有無はどうあれ、そんなプロセスこそが一番意義有ることかもしれません。海外移住を考えることが契機となり、新たな希望や活力を見出す場合もあるでしょうし、少なくとも何もしないこと、何の疑問をもたないことよりは、はるかに素晴らしいこと。
また、生活者としての視線で海外旅行してみたり、移住手続きなどをいろいろ調べているうちに日本を再発見する場合もあったり・・・。そんな時は日本での生活も従来とは異なったものになるかもしれません。

○利点のひとつはストレスからの開放
海外で生活する日本人と話をし、海外生活の最も良い点は・・・と聞いてみると、多くの人が”ストレスの無さ”という答えが返ってきます。もちろん皆無という訳でもないでしょうが、日本のように”自殺”まで考えるようなストレスは考えられないとか。考えてみれば、日本よりも貧しい国や社会保証の無い国も珍しくありません。なのに、将来不安などとは無関係。豊かといわれる日本よりも、はるかに楽しそうに暮らしている姿を見るにつけ、いろいろ考えさせられるのも事実です。

○海外生活に向く人、向かない人・・・?
一概に海外生活の向き・不向きをのべることはできませんが、あえて言うならば、向いている人は、文化や社会の違いを楽しめて好奇心が旺盛な人。思い立ったら世界の何処にでも出かけていき、安くて良質の宿・食堂をみつけ、現地生活に馴染むためになんでも吸収しようと意欲的な人といえるでしょう。反対に向かない人は、いろいろと日本との比較に終始する人。日本と外国とはいろいろ違っていて当たり前。その違いをひとつひとつ問題にしてみたところでなにもはじまりませんし、嫌な部分が目立っても、その中で相手国の良さを見つけ出すことができなければ、海外生活を続けていく上で障害になるでしょう。また、海外生活の全ては査証規定によって制約されるために、滞在をを継続できなくなることもあります。海外生活にはこうしたリスクがつきもの。安定や約束された将来を求めすぎる人には向かないかもしれません。